青沼の輝きと みぞれ交じりの春の宵
4月15日 こんばんわ。飲みが終わってブログ更新中ですが、酔っぱらってしまいました。
明日説明文を添付します。ではお休みなさい♪
奥野みちさんの小説アップは明日に持ち越します。
あきちゃんの独り言
旦那寝ちゃいました。昨日は素晴らしい好天だったそうですが、今日は霙交じりの強風吹きすさぶ中での探鳥になりました。
さすが裏磐梯。とてもつらかったです。
14日分
青沼にて
気の早い 水芭蕉
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奥野みち(ペンネーム)さんの小説をアップ致します。是非、ご拝読宜しくお願い致します♪
どでっぽー(ふくろう)の恩返し (奥野みち)作
万作は、大きな湖のほとりの蓮田に囲まれた小さな家に住んでいました。
親から受け継いだ少しばかりの蓮田と古ぼけた小さなべかぶねを持っておりました。
万作は、おくさんと二人の子供の四人家族です。
少しばかりの蓮田を耕し、小さなべかぶねで漁をして一生懸命働きました。それでも少しの蓮田と小さなべかぶねでは、食べるだけで精いっぱいでした。
万作夫婦の楽しみは、子供がすくすくと育つことです。
子供もやっと大きくなって娘は遠い所に嫁に行き、息子は遠い町に働きに行きました。
蓮田に囲まれた小さな家は、ぽつんと夫婦二人だけになってしまい、夜がくるたびに、 ため息が一つまた一つと小さな家にため息がいっぱいになりました。
やがて万作は「夫婦二人だから蓮田だけ耕せば暮らせるし、かっつまが庭の畑でわしらが食べる野菜を育ててるから、いいか」と思うようになり、まだ陽の高いうちから仕事を引き上げて、ごろごろしていました。
秋も深まったある日の午後、一日の蓮堀りを終えて帰り仕度をしていると空が段々あか
ね色に染まり始めました。
「とっつぁま、むこうば見なんしょ。富士山のきれいだこと」
湖の向こう側の、手のひらにのるような小さな富士山が、あかね色にくっきりと美しい
姿になりました。
「ほんに、めーど(毎回)見ても、こころがほぐれっからな」
万作夫婦は手を休め、しばらく見惚れていました。
湖はあかね色の空を映し、波のひとつひとつが宝石のように輝いています。
そして、いつの間にか夕暮れの色に包まれました。
またたく間にすっかり暗くなった畦道をとぼとぼと帰りながら、万作は言いました。
「真っ暗な家にけぇーるのは、いいーやどうもけったるいのー」
「とっつぁま、家の前のあの点々に光るのはなんだっぺー」
家の近くまで帰ってくると、入口の柿の木の枝に点々と光るものが四つ、その隣に豆粒ほどの小さい光が六つ、万作夫婦を向かえるようにならんでいました。
万作がそばで目を凝らして見ると、どでっぽーの親子でした。
数ヶ月前に網に足をからませて動けなくなったどでっぽーを、万作は助けてあげたのです。かなり弱っていたので、小さなべかぶねで魚を捕って数日間与えてあげたのです。
しばらくすると、どでっぽーはいつのまにかどこかに飛んでいってしまいました。
「やぁやぁ、あん時のどでっぽーけ。元気になって、子供ら見せにきたんけー」
もし、あのままどでっぽーが死んでしまったら、子供たちは飢え死にしたにちがいありません。母親のどでっぽーだけでは子育てはできなかったでしょう。
それからというもの、来る日も来る日もどでっぽーの家族は、万作の家の入口の柿の木の枝にならんで、万作夫婦に灯りの目じるしをつくりました。
万作夫婦はどでっぽーに、「いま、けーったよ」と声を掛け、どでっぽーに会えるのを楽しみに毎日暗くなるまで働きました。
そんな毎日が過ぎるように、日ごとに豆粒のような六つの光も大きくなり、やがて親どでっぽーと同じ大きさの光になり、万作の小さな家の入口の灯りは同じ大きさの十個となりました。
「やぁやぁ、どでっぽーの子供らもいがーく(大きく)なったっぺー」
と、万作夫婦はまるで自分の子供のように喜びました。
ある時、万作夫婦が暗闇を帰ってきたときでした。
入口の柿の木の枝の光が四つになっていて、六つの光が万作の小さな家のまわりをぐるぐると旋回していたのです。
そして光はじょじょにじょじょに高く上がっていきました。
「あんれ、なじょした」
家のまわりをぐるぐる旋回しているのは、どでっぽーの子供たちでした。
「とっつぁま、独り立ちじゃねぇーか」
「きっと、ほうだ」
万作夫婦は子供たちを見送ったときのように、うれしさと淋しさと不安で胸がいっぱいになりました。
どでっぽーの子供たちは、飛ぶ練習も、狩の訓練も三か月みっちり両親から特訓を受けました。
どでっぽーの夫婦が命がけで育てた子供たちとの別れのときです。
もう二度と巣に戻ってくることはありません。
どでっぽーも子供たちとの別れはきっと淋しいに違いありませんが、自信にみちて堂々とした風格さえ感じるのです。
万作夫婦はちょっとだけ胸をはりました。
万作夫婦とどでっぽーの夫婦は、六つの光が小さくなって見えなくなるまで見送りました。
それからは、四つの灯りが万作夫婦の帰りの目じるしとなりました。
終わり
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